2019年の年末に中華人民共和国の昆明、麗江(雲南省)へ行き、2020年の年明けから何やら新型の感染症が武漢(湖北省)で発生したとか言ってる間に、いろんなことが起こって旅行どころではなかったここ数年でしたが、ちょうど3年でほぼ終息したような気配が漂ってきました。この3年間、最初の2年は旅行などは控えつつ(こっそり国内旅行に行ったりはしてましたが)、それでも仕事の都合で大阪―東京間をがらがらの新幹線で毎週往復したりしてたのですが、2023年春ころからやっと海外旅行に行く人も増えてきた様子。しかし3年間もブランクがあると、なんだか旅行に対して機敏に動けなくなってしまっていました。腰が重くなったというのでしょうか、物理的な重量も増えましたが、それ以上に海外に行くということに面倒くささを感じてしまっていたのかもしれません。
そんなときにふと本屋で目に入ったのがこの雑誌。BRUTUS。
普段はこの雑誌を手に取ることはまずないのですが、この時は「久しぶりの海外」というキャッチフレーズに惹かれ購入してしまいました。記事の中身は食べ物のことが8割でさほど参考にはなりませんでしたが、「ちょっと旅行に行ってみるか」という気には十分させてくれました。台湾へは、この数年で田舎(東側)を中心に何度か訪問して結構お気に入りの旅行先になっていたこともあり、距離的にも気軽なので5月の連休の一部を使って行ってみようかなという気になったのが4月の中頃でした。
旅の準備
パスポート
その気になったらすぐ航空券の予約を始めるところなのですが、実はこの時パスポートの期限はすでに切れてしまっていました。コロナ禍の中、いつ行けるとも知れない海外旅行のために、更新申請することがばかばかしくなっていたので、そのまま放置していたのでした。しかし航空券の予約をするにもパスポート番号を登録しなければならないので、慌てて新規取得することに。パスポートの申請なぞ普通でも10年に一度なので、申請方法とか必要書類とかを行政のホームページで確認しつつ準備を始めます。
現在保持しているパスポートの期限内に「更新」する場合は住民票だけで申請できる(申請地と居住地が同一都道府県内なら住民票も不要)なのだけど、今回は「新規」に取得することになるので、新たに戸籍謄本(全部事項証明書)が必要になるそうな。水曜日が定休日のツレ(奥さん)に戸籍謄本の手配をお願いして、それぞれ写真を用意した上で、木曜日に午後休を取得して大阪府のパスポートセンターに駆け込んだのでした。
一般用のパスポートは申請して出来上がるのが1週間後、4月13日に申請したので、出来上がりは21日。申請は月曜から金曜までだけども、出来上がりを受け取るのは日曜でもOK(大阪府の場合)らしいので、翌週の日曜日に取りに行ってきました。
私の場合パスポートセンター(大阪府庁の一角にある)が自宅から近いので苦にならないが、大阪府は狭いとはいえ、遠方にお住まいの人は大変だと思いました。昔、阿倍野という大阪市の南のターミナル都市にもパスポートセンターがあったのだけど、いつの間にか廃止されていました。
航空券予約
台湾への旅行に出ようと決めたのが4月の半ばで、出発予定は4月29日として5日間程度を計画しました。この段階では、目的地は「台湾」ということだけで他に何も決めていませんが、最も安くて便利だろうと思われるピーチアビエーションの関西空港発の路線は、この時期は高雄行きの運航がないのでとりあえず大阪(関西空港)―台北(桃園空港)の往復を予約します。たいていの航空会社の予約画面では、航空券の購入に際してはパスポート番号の入力が必要ですが、ところがこの段階では新しいパスポートができておらず、パスポート番号がまだわからない状態。それでも出発が近づくにつれて徐々に代金が上がってゆくだろうし(結果的にはそんなことはなかったのだが、、、)、早く航空券だけでも押さえたかったので、入力したパスポート番号は後で修正できるということを確認し、古い(期限が切れた)パスポート番号を登録して購入しました。
ピーチアビエーションを含むLCCというやつは、何かと「別料金」が多く、今回も預け荷物なしの一番シンプルなタイプ+座席指定700円を2席購入。LCCはたいていシートが3列+3列のタイプなので、真ん中席は避けたく、別料金を払ってでも座席は確定させておきたい派です。今回もツレと2人なのですが、いつもの通りベストパターンだと信じている「通路を挟んで右左」で予約です。
航空券代金はPayPayで支払うことができました。PayPayポイントも1.5%ついて地味にお得。でも5日くらい後に同じ航空券を検索したら2人で往復1万円以上値下がりしててショックでした。出発日に近づくにつれ基本的に料金は上がっていくものだと思ってましたが、そうではなかったのですね。
旅程の検討
さて航空券が予約できたところで4泊5日と決定したわけですが、中身の旅程はその時点ではノープラン。とりあえず桃園空港に到着することは決まっているので、そこから行き先を北方面(台北方面)か、南方面(台中、台南、高雄方面)かを決めないといけません。台北は言わずと知れた大都会で何だか気が進まないし、かといって台中、台南、高雄は少しずつではあるけども過去に訪問済み。東海岸はゆったりしていていいけど、宜蘭、花蓮、台東も行ったことがあって新鮮味に欠けるということで悩んでいたところ、ツレから出てきたキーワードがこちら。
- 奈良美智(画家)という人名
- 東北角(トンベイヂャオ)という地名というか地域名
奈良美智さんは台湾で特別に人気があって、その時台湾域内を巡回する特別展が台湾南部の「高雄」からスタートしたところでした。一方「東北角」は台湾島の一番北部新北市から宜蘭にかけての地域で、真反対に位置してるので、どうかなと思いましたが、台湾高速鉄道(新幹線)を駆使することにして、「台湾のアートと建築を巡りながら一日だけ自然を満喫する旅」とすることにしました。
最近の建築事情や美術館の展示などを調べて決めた、ざっくりとした旅程は以下の通り。
- 4月29日大阪⇒桃園⇒台南⇒高雄
07:55-09:55 関西国際空港⇒桃園国際空港(KIX-TPE MM023)
12:30-15:00 桃園⇒台南(台湾高速鉄道 他)
・ 台南市美術館2館(坂茂)他見学
・ 台南で夕食
19:00-20:30 台南⇒高雄(台湾鐡道)
・ 六合夜市など 高雄 泊
- 4月30日高雄建築巡り⇒基隆
・ 高雄流行音楽中心/音浪塔
・ 高雄港埠旅運中心
・ 衛武營國家藝術文化中心
・ 高雄市立內惟藝術中心
・ 高雄市立美術館
16:55-18:20 左營(高雄)⇒板橋(台湾高速鉄道)
18:30-19:30 板橋⇒基隆(台湾鐡道)
・ 基隆廟口夜市など 基隆 泊
- 5月1日鼻頭角歩道トレッキング
09:00-10:30 基隆⇒鼻頭角(公共バス)
・ 鼻頭角歩道トレッキング
・ 海鮮レストランで高級ランチ
13:30-15:00 鼻頭角⇒黄金瀑布(公共バス)
・ 黄金瀑布見学
16:00-17:0:0 ミニバス⇒公共バスで九份経由で瑞芳車站
17:30-18:00 瑞芳⇒基隆(台湾鐡道)
・ 夜市で買い食い 基隆 泊
- 5月2日首都台北で建築探訪
09:30-10:30 基隆⇒台北(高速バス)
・ 松山文創園區/臺北文創大樓
・ 臺北表演藝術中心
・ 大倉久和大飯店 ホテルオークラ(お土産購入)
・ 富富話合
17:00 ホテルチェックイン
・ 迪化街で乾物購入
・ 寧夏夜市で夕食 台北 泊
- 5月3日帰国
10:55-14:35 桃園国際空港⇒関西国際空港(TPE-KIX MM024)
ホテル予約
ホテル予約もいつものagodaです。出発間近だったので比較的高めでした。ざっくりといえば1泊14,000円くらい/2人。今までアジア旅行で感じていた割安感はありません。単に日本円が下落しただけかもしれませんが。
カインドネス ホテル ジョン ジェン 康橋商旅 六合夜市中正館(高雄)
高雄での宿泊は以前にも泊ったことがある「カインドネス ホテル ジョン ジェン 康橋商旅 六合夜市中正館」を予約しました。ここは地下鉄の美麗島駅から徒歩5分程度。台湾鐡道の高雄駅からも高雄国際空港からも地下鉄1本でアクセスできるので非常に便利です。1階のレストランスペースでは24時間営業でコーヒーなどの飲み物やアイスクリームを提供してくれており助かります。またすぐ裏では六合夜市が開かれているので、小腹が減った場合でも苦労しません。ちなみに2回目の宿泊だからかどうかはわかりませんが、広い部屋にアップグレードしてくれました。前に宿泊したときも、部屋は狭いながら機能的だったので何も問題はなかったのですが、今回は広いだけあって格段に快適でした。ただ、このホテルに限らずナイトウェア(寝巻)の用意はありませんでした。
ジャスト リブ イン 享住旅店(基隆)
基隆は初めて訪問する都市なので雰囲気が全く分からないし、直前だからかそもそもあまりよさそうな宿がヒットしません。そんな中で値段もそこそこ手ごろで、駅からも徒歩圏内だったこのホテル「ジャスト リブ イン 享住旅店」に決めました。通りからは注意して歩いていないと見落としそうな入り口で、建物もかなり古そうなのですが、内部はきれいにリノベーションされていて快適です。バスタブがついていましたが、円形の2人で入れそうな代物でちょっとびっくり。でもそういうホテルでもなさそうでした。1階のフロントデスクの裏にバーのようなお店があって、チェックイン時にそこのドリンク券を1泊ごとに一人1枚くれます。24時間営業だそうで、頼んでいませんがアルコールドリンクもいけそうでした。(ドリンクメニュを示しながら「このメニュ全部が対象」と言っていた。)
ジャスト リブ イン 享住旅店(基隆)
最終日は帰国便が午前中だし間に合わないといけないので、いつもと同様最後の宿泊地は台北にしました。今まで台北に宿泊する際、「晴美公寓酒店 Jolley Hotel」に2度宿泊したことがあり、価格の割に相当良かったので今回もagodaで検索したのですが、はるか手が届かないところに行ってしまってました(泣)。立地もよく部屋は広くて超快適(朝食はいまいち)だったのに残念です。
仕方なく便利そうなところを探してたら、台北駅のすぐ近くに「Yホテル」というのを見つけました。直前の時期にしては破格の安さ(1泊2名で7,000円強)で、立地も台北駅からすぐなので申し分ありません。そういえば、ずいぶん以前に夜便で台北に到着して、翌朝花蓮に移動するという計画を立てたときにこのホテルを予約をしたのを思い出しました。その時も価格だけ見て選んだのですが、結局その夜便の飛行機(ジェットスターだったような)が出発直前に台風のせいで大幅に遅れてしまい、やむなくダメもとでキャンセルのメールを入れたら遅延証明書をメールしてくれたら無料でキャンセルしてあげるとの返答をもらい、その時から非常に好印象のホテルでした。
前回はキャンセル手続きをメールだけで済ませたので実際のホテルの建物は見ないままでしたが、建物は古いが非常に手入れされてきれいなホテルでした。Yホテルという名前はへんてこですが、YMCAが経営するホテルのようです。部屋によるのかもしれませんが、私たちが宿泊した部屋はきれいにリノベーションされていてとても快適でした。
列車予約
台湾高速鉄道は当日でも自販機で切符が買えるので、都合の良い時間の列車をその時に選ぶのが合理的なのですが、5月1日は台湾ではレイバーデイ(勤労者の日?)ということで祝日3連休が絡むことと、人気列車の予約はできないのだけど、外国人は事前購入、座席予約で基本2割引き、南行の予約は2人分予約、購入すると1人分無料というキャンペーンをやっていたので、これを利用しない手はないと思い、kkday という旅行会社のサイトで「桃園⇒高雄」「高雄⇒台北」の切符を購入しました。ここで切符を購入するとIDがもらえるので、台湾高速鉄道のサイトで列車の指定をするのでちょっと手間がかかります。また予約できるのはすべての列車ではないので、どうしても人気の時間帯の切符が欲しいなら、通常運賃を支払って台灣高鐵のサイトで購入しなければなりません。
【外国籍旅行者限定】台湾新幹線(高速鉄道 / 高鉄) 台北〜高雄間乗り放題 高鉄3日パス / フレキシブル2日パス予約
【1枚買うと1枚無料】台湾新幹線 (台湾高速鉄道) チケット | 外国人旅行者限定
※外国人割引切符は台灣高鐵サイトでも直接購入もできるようです。
※列車の指定は「周遊券」のページの「manage」画面から行います。
SIMカードの準備
最近の旅行はスマホなしでは成り立たなくなりました。ということで、海外に行くならその土地のSIMカードを入手して、現地でSIMを入れ替えて通信するということをやってましたが、ここ数年海外旅行に行かない間に、海外ではSIMは「eSIM」が主流になっていたようです。私はiPhoneを使っていますが、最近のモデルであればeSIMに対応できているので、購入先から送られてきたQRコードを読み取って、SIMをアクティベートすれば完了。すごく便利です。amazon等の通販で購入する際は直前だと出発までに届かないかもとか、現地の空港で購入する際はそれなりに時間を要していたことを考えるとすごく簡単になりました。もともと日本で使っているSIMは装着したままでいいので、必要であれば日本の回線に切り替えることも可。ただ、アクティベートするのに通信回線が必要なので、国内で出発の日にやるか、現地空港の入国審査の列で空港の無料wi-fiを使ってしなければなりません。私はうっかり飛行機の出発までに作業するのを忘れたので、現地空港のwi-fiでやりましたが特に問題なくアクティベートできました。
台湾のeSIMは新幹線の切符を購入した同じサイトで売ってたので、そこで購入。一番安いのを5日分のプランで購入しました。一番安いの(700円弱/台・5日)を選びましたが、速度も全く問題なかったです。5Gのプランは別にありましたが、私が購入したやつでも所々で5Gにつながっていました。
台湾eSIM | 1 / 3 / 5 / 7 / 8 / 14 / 15 / 30日プラン データ通信量1日/総量eSIM
その他
VISIT JAPAN Webへのワクチン接種証明書登録
コロナ(COVID-19)は終息しつつあったとはいえ、出発前の情報では、台湾(中華民国)入国時にワクチン接種証明などの提出は不要だが、入国ゲートで滞在日数分のCOVID検査キット(無料)が配られるので、毎朝自己チェックするとかいう話があったのだけど、到着したらそんなものはありませんでした。抗原検査キットとはいえ記念に1つ持って帰ろうとかいう目論見は崩れました。要するにコロナウィルスに関しては何のチェックもなく入域できたということです。
さて帰国時ですが、日本国民であっても3回のワクチン接種証明の提出が必要で、それがない人は帰国72時間以内に実施したPCR検査の陰性照明が必要とのこと。ワクチン接種証明は国内のGOTOキャンペーンなどと同じ、接種時のシールが貼付されたものでよいとのこと。海外用の英文接種証明書も申請はできたのだけど、新規のパスポート取得から時間的に間に合わなかったので、今回はスルー。あと、VISIT JAPANというWEBサイトにアクセスして、そこで事前に接種証明書の写真を登録しておくと、検疫がスムーズに通過できるということだったので、いろいろ苦労してやってみました。アプリではなくWEBページというのが面倒でしたが、何とか完了させて出発の朝(4月29日)、空港でWEBを再度確認したらかこんな表示が・・・。
要するに4月29日からは接種証明書の提示も不要になって優先レーンも廃止したので、ボタンもなくしたということだそうだが、そんなこと一昨日入力させてる時点でわかってただろ(怒)、と河野太郎の顔を思い出しながら憤慨したのでした。日本国政府のやることは、一般ユーザのことなど考慮しないということがよくわかる一場面でした。
旅行鞄
近いし旅行のしやすい地域なので、スマホのSIMさえ調達できればあとは何も気にしなくていいのですが、今回は荷物を機内持ち込みだけにしたので、旅行バッグをどうするかが悩みどころでした。結局小型のバックパックで行くことにしたのですが、皆さん結構小型のキャスターバッグを機内に持ち込んでいましたね。ただ、機内持ち込みの重量制限はすべて合わせて7kgなので、普段愛用しているゼロハリバートンは、サイズは大丈夫だとしても重量的にバッグだけで7kg近くになりそうなので却下です。帰りの空港のチェックイン時にバッグの重さをはかられている人もいたし、ツレはバックパックに差し込んでいたポスターの筒が長すぎたようでメジャーで寸法を測られていたりと、意外とチェックが厳しいようです。
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