ウズベキスタンでの旅行の経緯はこちら。
下痢のお腹を抱えて、タシュケント発ソウル行きのアシアナ航空機に乗り込んだのは昨夜の22時。ウズベキスタン標準時は韓国、日本より4時間遅れなので、到着地のソウル時間では26時(深夜2時)ということになります。この日は一日ソウルで焼肉でも食べて休養して、翌日ツレ(奥様)と合流してソウル観光をする予定だったのですが、下痢の影響はどこまで響くのでしょうか。
0日目 タシュケント発ソウル行き OZ574便
ホテルウズベキスタン前で秘密警察にねだられる
ホテルウズベキスタンでのドライバーとの待ち合わせ時刻は19時半。その日はタシュケント市内の観光の予定だったのですが、下痢の影響からあまりウロウロできず、午後から美術館とバザールに行っただけで食事もせず(バザールで串焼肉は食べた)、夕方にはホテルのロビーに戻ってきていました。ホテルウズベキスタンのロビー階のトイレはいちいちコーヒースタンドで鍵を借りないといけない面倒なタイプで、何度も鍵を借りに行くのも恥ずかしいので、気を紛らわせるためにホテルを出たり入ったりしていました。
ホテルのエントランスは物々しい金属探知機のようなゲートがついていて警備員が立っているものの、機能しているとは思えない緩さです。当日ホテルでは何やら大掛かりな宴会だか会議だかが開かれるようで、カメラクルーや着飾った女性が行き来していてロビーでずっと待っているのも気が引けるので、外の車寄せ脇の灰皿があるところでタバコを吸ったりして時間をつぶしていました。
かなり怪しい日本語で声をかけられたのはその時でした。
「あなた、日本人ありますか?」そう言ってきたのは50歳前後のかなりくたびれた感じのおっさんでした。「わたし、いばらきではたらいていた」「しごと、じどうしゃかんけい」とか言っていたので、日本語はその時に覚えたのでしょう。あまりに日本語がたどたどしいので、英語で話しかけてみましたが、無反応でした。私の英語がひど過ぎるだけかもしれません。適当な日本語で話をしていた時に、突然「わたし、ひみつけいさつ」とかおっさんは言うのです。「ひみつけいさつ」とは「秘密警察」のことで、旧ソ連だったウズベキスタンにはそういうものがあってもおかしくありません。日本にもあるのかもしれませんが、秘密警察は秘密にしているから秘密警察なのです。公然と告白したらそれはすでに秘密警察ではないのでは?などと考えていると可笑しくなってきましたが、もしかしたら本当の秘密警察かもしれないので、余計なことは言いません。そうしたら「なにかおもいでに日本のものをくれないか?」とおっしゃるのです。残念ながら荷造りをして身の回りのもの以外はホテルに預けてあって、何もあげるものがありません。そう断って、手持ちがあった日本のタバコを勧めたら「タバコやめた」とのこと。いい心がけです。「本が欲しい」とのことだったので、「地球の歩き方(中央アジア版)」をあげたら喜ぶかなと思ったのですが、それも荷造りしてしまってもう手元にありません。それでも30分くらい話をしていたと思いますが、要人が乗っているらしい黒いセダンがホテルに滑り込んできたときに、彼はそちらを一瞥して「わるいやつ」とはっきり言ってのは忘れられません。彼が本当に秘密警察なのか、ホテルにやってきた要人らしき人が悪い奴なのか、今となってはもうわかりません。
タシュケント空港に送ってもらう
どうでもいい話でした。19時半きっかりにドライバー氏は現れました。というか、このホテルでは当時からwifiが設置されており、それがパスワードなしで誰でもアクセスできるような太っ腹な設定だったので、ホテルに用のない外国人たちがよくwifi目当てにPCを持ち込んでロビーのソファを占拠するような感じだったのですが、ピックアップの2時間以上前に私がホテルに帰ってきたときからドライバー氏もそこにいてPCをいじっていたので、「じゃあそろそろ行くか」という感じです。
私が「建築に興味がある」と言ったので、わざわざソ連時代の古い建物とモダンな建物が隣り合っているようなところを通ってくれたりして、なかなか親切なナイスガイでした。別れるときに私のバックパックを手渡しながら「今度は気候の良い時に来いよ」と声をかけてくれ感激したのですが、実はトイレに早く行きたくてお別れもそこそこに空港に駆け込んだのでした。
タシュケント空港(ウズベキスタンを出国)
ウズベキスタンでは出国時に書類を書かなければなりません。普通は入国書類の半券が出国書類になっていたりしますが、ここではそんな親切な仕組みはありません。入国の時と同様に所持金等を書かされるので、非常に面倒だし、こんなところで財布を広げるのも嫌なので適当に書いてしまいました。宿泊証明書(レギ)もチェックされるということでしたが、私の場合は完全ノーチェックでした。
大量に余ったスム札でお土産でも買おうと思っていたのですが、空港内の免税品はすべて米ドルでないと購入できないとのことでがっかりです。今回はアシアナ航空なので空港ラウンジが使用できるはずなのですが、チェックイン時も案内がなく、どこにあるのかも定かではなかったので、トイレに近い唯一スム札が使えるカフェで飛行機の出発を待ちます。
飛行機に乗り込み飛び立ってすぐに食事が出ますが、お腹が心配なので「食事はいらない」とだけ伝えてすぐに眠る体制に入りました。隣のお父さんが食べていたビビンパがおいしそうでしたが、チューブ入りのコチュジャンを何本ももらって大量にビビンパに乗せていたのがほほえましかったです。長期の出張か何かで、自国の味に飢えてたのかとか想像しながら眠りに落ちました。
1日目 韓国 ソウル・明洞
ソウル仁川空港(韓国へ入国)
韓国への入国はあっさりしたものです。ただ、私はよく韓国人と間違えられて何かにつけて韓国語で話しかけられたりしますが、今回もキャビンアテンダントの女性は(たぶん)私の顔を見て韓国語の入国書類をくれたのだと思います。ベトナムではベトナム人に間違えられたりするので、間違えられることは不愉快ではないのですが、韓国語はさっぱりわからず、ガイドブックもないのでどこに何を書けばよいか不明なので、結局英語のものに交換してもらいました。
ホテルにチェックイン(明洞 サヴォイ ホテル)
実は韓国には2度ほど(1度は日帰り)しか来たことがなく、どこにホテルをとるのがよいか見当がつかないので、一番メジャーそうな地名であった「明洞」というところで予約をしておきました。日本人に人気の3つ星級のホテルだそうです。到着したのは午前11時前くらいだったと思います。疲れているので部屋を使わせてもらえないかと言ってみた(なんと日本語が通じる!!)のですが、あいにく満室なので3時まで待てとのこと。別にソウルの繁華街で行きたいところもなく、ホテルの選択を誤ったとちょっと後悔しました。体調が本当なら、仁川空港から明洞までの間のどこか(場所は忘れた)に立ち食い焼肉があると聞いていたのでそれを楽しんでからチェックインすればよいと思っていたのですが、とてもそんな気にはなれなかったのです。とりあえずホテルのフロントでレートがよいと教えてもらった両替屋へ行って韓国ウォンを追加し、昼飯となるお腹に優しそうなものを探しに行きました。
昼飯に参鶏湯
韓国料理と言えば「スパイシー」。お腹には良くなさそうです。幸い全世界対応SIMの容量が残っていたので、スマホで調べて見たところ、情報があまりにたくさん出てきすぎて何がいいかわからなくなりました。日本語の情報がこれだけあふれているのが、ここまでウズベキスタンで情報収集に苦労してきた身にとっては驚愕です。なので、一番最初に見つけた参鶏湯(サムゲタン)を食べに行くことにしました。参鶏湯がどんなものかは私も知っています。辛くないし朝鮮人参とか入っていてお腹によさそうと思ったのです。
韓国では食堂でおひとりさまは嫌われると聞いていました。食事を一人でするという習慣がないためだと思いますが、比較的早い時間だったせいか、外国人だからか特に何も言われませんでした。しかし今でも覚えていますが、烏骨鶏参鶏湯が20,000ウォン(2000円くらい)と、すごく高かったのに驚きました。それまでは夕食でビールを飲んでも7ドル程度だったので、やはりソウルは都会なんだと実感しました。昼飯を食べたらあとはすることがないので、ホテルのロビーで部屋が空くのを待たせてもらうことにしましたが、せっかくソウルに来たのに何をしてるんだ、と思われたかもしれません。
ホテルでくつろぐ
やっとチェックイン可能時間が近づいてきたので、ホテルのそばのコンビニでビールを買って(ウズではこれができなかった!)部屋に入れてもらいシャワーを浴びてくつろぎます。自国の雰囲気に近い場所に戻ってきてなんだかホッとしました。トイレに洗浄機能がついているのは非常にありがたいことだと改めて思いました。
ビールを飲んだらもう外に出かけるのが面倒になってしまい、一度コンビニに買い物に行った以外はずっとホテルにこもっていました。外国に旅行に来てこんなことは初めてですが、この時は外国というよりなんとなく自国に帰ってきた感じになっていたのかもしれません。翌日はツレ(奥様)と落ち合ってソウル観光をする予定。
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