「シルクロード」と聞いてある種の懐かしさを覚えるのはある一定の年齢以上の人でしょう。昔、1980年代のはじめくらいだと思いますが、某国営放送局が「シルクロード」というシリーズタイトルの特集番組を放送していたことがあって、中学生くらいだった私はそれをずっと観ていたのです。いつかは行って見たいと思っていましたが、実はシルクロードは実に長大で1回の旅行ですべてを見て回ることはできませんし、その途中は現在立ち入ることがほぼできない地域です。シルクロードの旅は何度かに分けていくことにして、今回はシルクロードのほぼ中央、ウズベキスタンを旅します。
1日目
関西空港→ソウル・仁川空港(OZ11便)
まず10時50分発のアシアナ航空OZ111便にてソウル・仁川空港へ向かいます。ウズベキスタンへは成田空港からの直行便を利用する以外には、韓国系のキャリア、大韓航空かアシアナ航空を利用することになります。(トルコ航空イスタンブル経由という選択肢もあります。)ウズベキスタンがソ連の一部だった頃、ソ連の北朝鮮との国境付近に住む朝鮮族の一部を強制的にウズベキスタン領内に移住させたことがあって、ウズベキスタンには今でも朝鮮系の人々が大勢(もちろんウズベキスタン国民として)住んでいるので、韓国の2つのキャリアはタシュケント便を維持しているのだそうです。
ソウルの仁川空港ではおよそ4時間の乗り継ぎ待ちなので、当然韓国に入国することはせず、アシアナラウンジで一人旅の始まりを実感します。
ソウル・仁川空港→タシュケント空港(OZ573便)
ソウル仁川空港からのOZ573便は当時16時50分発。タシュケント到着は20時20分となっているので、日本との時差4時間を勘定に入れる(日本と韓国に時差はなし)と、7時間20分かかった計算になります。ふつうは通路側の席を選ぶのですが、今回は眼下に見える景色を見たくて窓側にしてもらいました。
ウズベキスタン入国に際しては、入国申請書に所持金と主な持ち物の金額を(USドルで)記載しなければならないという変なルールがあって(今はなくなったかもしれません)、一応正直に記載します。現金は通貨の種類ごとに書かなければならず、帰りに韓国による予定で韓国ウォンも所持していたため、米ドル、日本円を合わせて3種類をの金額を米ドル換算で書くのは結構面倒です。まあ大した金額はもっていかなかったのですが。あと金目のものとしてカメラ(500USD)だけを記載しました。入国審査ではこれについて何も言われませんでした。
タシュケント空港
入国審査はすんなり通過しました。色々聞かれると思っていたので意外です。結構日本人だとわかると結構皆さん親切にしてくれます。韓国とウズベキスタンの関係に比べるとあまり縁が深くないように思うのですが、なぜなのでしょうか。
入国審査はスムーズだったのですが、荷物の返却が全然だめです、タシュケント空港。荷物が流れ始めるまでに相当時間がかかった上に、ターンテーブルが小さいのですぐに満杯になってしまって回転が止まって、係員のおっさんが汗まみれになりながら荷物を床に放り出す始末です。私、一応スターアライアンスゴールドなので、預け荷物はビジネスクラスの客のすぐ後くらいに出てくるはずなのですが、段ボール箱に詰まった荷物が出てくるばかりで、私のバックパックは一向に出てきません。というかビジネスクラスの客の荷物も出てきていないようで、韓国人のおっさん(ビジネスクラス)が激怒していました。
正味到着から2時間近くかかって荷物をピックアップしたときにはくたくたです。迎えのドライバーを探し出して遅くなったことを詫びましたが、「客が出てくるのがこんなに遅くなることは普通はない」と言ってたので、何かトラブルがあったのかもしれません。
ドライバーにはこの日宿泊するホテルまで送ってもらったのですが、ホテルに到着したところでドライバーが、米ドルをウズベキスタンの通貨スム(ソムともいう)に両替をしてやろうと申し出てきました。ウズベキスタンスムの対米ドルレートは「公定レート」と「市場レート(闇レート)」の2種類があってドライバーが申し出てきたのは当然「公定レート」。ホテルや銀行で公定レートで両替すると出国時に再両替できるメリットはありますが、その差は2倍以上だったと思います。ドライバー相手の闇両替で公定レートはありえないので、「市場レートなら両替してもよい」と言うと、ドライバーさん少し考えたあと「じゃあ200USD両替してくれ」と言いました。一人旅で200は少し多いかと思いましたが、意外といい人そうだったので、両替してあげました。日本で聞いていた市場レートよりやや悪かったものの、ごまかすことなくきちんと支払ってくれました。(今では公定レートが市場レート並みに切り下げられ、乖離はそれほどなくなったと聞きますが、実態はどうなのでしょうか。)ただ実際は両替した半分くらいしか使うことがなく、最後に随分スム札を余らせてしまいました。
私が行く少し前まではウズベキスタンの紙幣といえば1000スム札しかなく、100USDを両替したら札束になったという話をよく聞きましたが、私が行ったときには5000スム札ができていて、それほどの札束感がなく残念でした。現在は10000スム札も登場しているそうです。
ウズベキスタンホテル
ウズベキスタンホテルはタシュケントのホテルではまあまあ高級な部類で、昔からある国営ホテルです。建物は共産時代のデザインで(ドライバーは「ソビエティックデザイン」と言ってましたが。)、外観はなかなか壮麗ですが内部はなんだか陰鬱な感じがします。荷物のピックアップのごたごたで疲れたし、お腹もあまり空いていないのでビールでも飲んでもう寝ようと思って売店で聞くと、「ビールはない。バーへ行け。」とのこと。そういえばここはイスラム国家だということを改めて思い出しました。ソウルの空港で、ウィスキーを買っておかなかったことをこの後ずっと後悔するのでした。
レギストラーツィア
ウズベキスタンでは外国人が国内で宿泊する際には「レギストラーツィア」(英語ではレジストレーション)という宿泊登録が義務付けられています。旧ソビエト時代の管理方式のようですが、すべてホテルがやってくれるので特に面倒なことはありません。ただその証明書の紙切れ(これもレギストラーツィアという。またはレギとも)を宿泊日数分持っていないと出国の時に面倒なことになるとか言われています。私は出国の際に何も言われることはありませんでしたが、最終日の夜遅くに再度この国営ホテルに泊まった時に、フロントデスクのこわもてのおば様に「ここまでのレギをすべて見せろ」とすごまれました。各地のホテルでもらったレギはくれぐれもなくさないようにしなければなりません。
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